2024年10月14日、中国人民解放軍東部戦区は台湾を取り囲む形での大規模軍事演習「聯合利剣-2024B」の実施を突如発表しました。これを受けて、台湾国防部は直ちに警戒態勢を強化し、対応策を講じました。
台湾軍の即時対応
台湾軍は、中国軍の動きに迅速に反応しました。具体的な対応は以下の通りです:
- F-16V戦闘機の緊急発進: 午前5時30分、花蓮基地から2機のF-16V戦闘機が緊急発進しました。これらの戦闘機は、AIM-120先進中距離空対空ミサイルとサイドワインダー・ミサイルを搭載し、台湾東部および北東部の空域を巡回しました。
- 対艦ミサイルの配備: 海軍の雄風機動第4中隊が、雄風II型および雄風III型対艦ミサイルの移動式発射機を出動させました。これらは10分以内に事前に指定された戦時予備陣地に展開し、中国軍の演習海域を監視しています。
中国軍の演習内容
中国軍の発表によると、この演習には陸軍、海軍、空軍、そしてロケット軍(戦略ミサイル部隊)が参加しています。演習の主な内容は以下の通りです:
- 重要港湾や海域の封鎖訓練
- 海上および陸上目標への攻撃訓練
- 総合的な制空権・制海権の獲得訓練
この軍事演習は、台湾の頼清徳総統が10月10日の「建国記念日」に行った演説への反発とみられています。中国側は、この演習を「台湾独立勢力に対する強力な威嚇」であり、「国家主権と統一を守るための正当で必要な行動」と位置付けています。
今回の演習は、頼総統就任直後の5月に続いて2回目となります。台湾海峡の緊張が再び高まる中、国際社会の注目が集まっています。
祖国論
台湾の頼清徳総統が提唱する「祖国論」が、国内外で大きな注目を集めています。2024年10月5日、中華民国(台湾)の建国記念日である「双十節」の前夜祭で、頼総統はこの新たな概念を展開しました。
頼総統は、中華民国が113歳であるのに対し、中華人民共和国はわずか75歳であると指摘しました。この年数の差を根拠に、中華人民共和国は中華民国の人々の「祖国」にはなり得ないと主張しています。さらに興味深いことに、中華人民共和国の75歳以上の人々にとっては、むしろ中華民国が祖国になる可能性があるとも述べました。
この発言の背景には、中国の国慶節に際して一部の台湾芸能人が中国を「祖国」と呼んだことへの反応があります。頼総統は、台湾人は主権独立国家の国民であり、常に祖国を愛していると強調しました。また、中華人民共和国の誕生日を祝福したい人は、「祖国」という単語を使用しないよう呼びかけています。
頼総統の「祖国論」は、台湾のアイデンティティを強調し、中国との関係を明確に区別する意図があると見られています。しかし、この発言は中国側の強い反発を招きました。中国政府は頼総統の発言を「邪悪な意図」で緊張を高めているとして批判しています。
この「祖国論」は、台湾と中国の複雑な歴史的関係や、現在の政治的立場の違いを浮き彫りにする興味深い議論として捉えられています。頼総統の「祖国論」は、この複雑な問題に新たな視点を提供し、台湾の立場を明確にする試みとして、今後の展開が注目されています。
出典:NewsTimes